正しいカレー

私は優等生だから「正しい」ということに安心する。正しいというだけで安心し、正しくないというだけで不安になる。なにをみてもそれが正しいかどうかと真っ先に考えてしまうのだ。それは正しいのだろうか。

カレーには四つある。「左がカレーで右がライス」、「左がライスで右がカレー」、「手前がカレーで奥がライス」そして、「手前がライスで奥がカレー」だ。見た目に正しいのは手前と奥に分かれるパターンだと思う。左右にカレーとライスが配置されるのはどうもバランスに欠けると思う。人間は左右のシンメトリーに安心を感じるものだ。だけど実際に食べる時となると話は別だ。左にライスで右にカレーを持ってきた方が食べやすいと思う。カレーライスは、カレーとライスの境界線で食べるものだ。そして日本人は箸をスプーンに持ち替えたところで、箸の使い方しかできないのだ。スプーンを手前や奥に押したりするのは苦手だ。だからたぶん、右にあるカレーを左のライスに持っていくのが正しいだろう。

ただ、レストランでカレーを注文するとカレーを手前に向けてを持ってくるウエイターが多い。美的に正しいからだ。だけど、私は思わずウエイターを目を遣る。視線がこちらをむいていないのを見計らって90度だけ右に回転させる。この90度の回転というのは正しいのだろうか。だけど多分、全国のレストラン、洋食屋、カレー専門店で行われているに違いない。私がカレーを90度回転させているとき、別の場所で誰かが90度回転させているのだ。カレーを食べようという瞬間、私は見知らぬ誰かとシンクロしている。カレーってなんと楽しい食べ物なのだろう。

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